34th Conference on Infinite Dimensional Analysis and Quantum Probability
(Moscow,Rossia)
2013.09.15
出発の日。
海外は夜行便で行くと都合がいいということを学んでいたのに,昼の便なので家を出るのは早朝だ。
家を出る直前に,モスクワに着いてから,水が買えなかったらと心配になって,ペットボトルの爽健美茶をスーツケースに入れた。しかし,スーツケースだと気圧の関係で漏れるかも,と紀子が言うので,手荷物のほうに入れなおした。
いよいよ朝5時5分,佐賀バスセンターの始発バスで空港へ。
子供たちは誰も見送りには来てくれない。早いから仕方ないか。
まだこの時間は真っ暗だが,空港に着くころには明るくなっていた。
緊張でのどが渇くが,飛行機に乗れば飲み物は飲めるし,爽健美茶はモスクワ用だからと我慢した。
手荷物検査でペットボトルはチェックされるが,封を切ってないので大丈夫だった。
成田での乗り継ぎはJALからJALなので,荷物も受け取らなくていいし,そのまま乗り継ぎの方へ行ってしまえるので楽だが,出発ロビーを通らないので,両替のチャンスがなかった。
税関・出国手続きの前に,また手荷物検査だけはあるのだが,なんとここで,ペットボトルは海外に持ち出せないと言われてしまった。
「廃棄するかここで飲むか」と問われて,「もったいないから飲みます」と,500mlを一気飲み!
お腹がちゃぷちゃぷになった。
出発カウンターは本館ではなくサテライト棟だった。この間は黄色いモノレールで結ばれているのだが,これがもうすぐ廃止になると最近ニュースで見たばかりだった。廃止前に乗れてよかった。(特に面白いものでもなかったが)
この列車乗り場の前後に銀行があったので,無事両替もできた。
さぁいよいよロシア行きの飛行機だ。少し遅れて11時半ごろ離陸した。
出発して1時間半くらいで機内食が出て,
出発して3時間で照明が暗くなった。
出発して6時間でまた照明がついて,2度目の機内食。この機内食も,酒の肴のような軽いものではなくちゃんとした食事だった。
国際線でもエコノミーだから,座席の広さはいつもの国内線と同じだ。だが,設備がちょっと良くて,(寝る時間以外は)ずっと電子書籍の漫画を読んでいた。
JALの飛行機なので,CAも日本人だし,ちょっとした表示なども全部日本語なので,海外らしさはない。
予定より少し早く現地時間の15時半ごろモスクワに着いた。
なんと雨だ。
入国手続きの長い列の選び方に失敗して時間がかかったが,16時過ぎくらいには出られた。
この空港は国内線の側も国際線の側もとにかく人が多い。
人波をかき分けて,なんとかエアロエクスプレスの乗り場に着いた。
チケットはエクスプレス+メトロのセットを買ったのだが,「10分以内で云々」という注意書きがある。
とにかく,16時30分発の電車にぎりぎり間に合った。
何とか席も見つけて,45分間ノンストップで地下鉄の駅に着いた。
地下鉄の乗り換えが難しくて,何度か人に聞いて,どうにかレニンスキープロスペクトに着いた。10分で移動はできなかったが,特に何の問題もなかったのは却って不思議だ。
ここからホテルを探さなければならないが,雨が降っているので移動がとてもしんどい。
グーグルマップのストリートビューで予習していたおかげで最短距離でホテルに着いたのが,18時過ぎ。
それから部屋でPCをネットに繋いだときには,もう日本時間の深夜0時だった。
部屋には水のペットボトルがサービスでおいてあったので,今日は2食食べているわけだし,雨も降っているので,もう買い物に出ることはせず,このままシャワーを浴びて寝ることにする。
2013.09.16
朝 目覚まし時計よりも早く6時に目が覚めた。
この時間,日本は昼の11時だから,要するにいつもと同じだ。
まだ真っ暗だったが,起きたついでに少しLINEをした。
7時半に顔を洗って,8時に朝食に行く。
なかなか広くて,料理もたくさんある。
ご飯がなくてパンばかりだが,種類が多くて,全部は試せないくらいだ。
シンポの会費に100ユーロプラスして毎日3食分を頼んでいるので,無理をせず,そこそこ食べた。
9時少し過ぎにホテルを出て,地図で調べたとおり,まっすぐ歩く。
雨は降っていないが,曇っていて肌寒い。
片側5車線くらいの広い通りなので,両側に大きな建物があるが,何の店なのか全然わからない。
20分くらい歩いて,ステクロフ研究所に着いた。
入口がわからなくて苦労したが,無事入ると,浅井君が後ろから声を掛けてきた。
ちょうど彼も着いたところだったのだ。
SiSiさんや渡辺さんらもちょうど来た。
彼らはタクシーで40分もかけてきたのだという。
やはり会場近くのホテルを取るのは重要ポイントだ。
シンポジウムの前に,まずレジストレーションだ。
ここで,毎日3食分ではなく昼のみを40ユーロの追加で済んだ。
保険とは言え,100ユーロの追加はやりすぎかなって思っていたので,これはよかった。
気になる事柄が一つ解消した。
10時半になり,シンポジウムが始まった。
相変わらずコーヒーブレイクがたっぷりあるが,SiSiさんらと話していればいいので,退屈はしない。
昼飯は,1階の食堂に用意してあった。ピカタとピラフって感じで,まぁ普通の食事だった。
午後にコーヒーブレイクのついでに,ちょっと抜けて買い物でもしようかとSiSiさんを誘ったら,日本人グループがみんなついてきた。
これだけ多人数がいっぺんに減ったら悪いかな…と思ったら,なんと雨が降っている。
雨中をわざわざ歩くこともないと,みんなで戻って,そのまま続きに出席した。
しかし,聴衆は結構減っている。
部屋が移動したらついでに休む人も多いのだろう。
結局最後まで真面目に出席して,18時からはウェルカムパーティだ。
ワインとパンでの立食パーティだった。
大した食事もないのに,みんな19時過ぎまで盛り上がっていた。
僕は相変わらずだったが,その日本人グループはホテルが遠いので,帰りもタクシーだそうだ。
タクシーを呼んでもらうが,なかなか来ない。
しかもそれが普通のようで,Volovichも平気なもので研究所内を案内したりしてくれる。
ようやく,20時過ぎにタクシーが来たので,みんな乗っていって,僕は歩いてホテルに帰った。
一人遅くに雨の中を歩くのもさびしいものだが,それでも彼らよりも早くホテルに着くのだから,楽なものだ。
えっと,夜9時は日本の深夜2時か。
もう寝るだけだな。
明日は天気がよいといいが。
2013.09.17
朝7時に目が覚めたが,やはり雨。
今日は晩飯を抜く予定なので,朝食はちょっと多めに食べた。
パンを多く取りすぎてもう食べられないけどどうしよう,と思って,別の料理を取りに行くふりをして席を立ったら,サッと残ったパンと皿を片づけに来たので,助かった。
雨の中を歩いて,研究所に行く。
朝飲んだ風邪薬がよくなかったのか眠くて仕方ない。
と思っているうちに,午前が終わって,昼飯の時間だ。
日本人は7人なので,4人がけのテーブルでは1人分空きが出るが,
今日は僕のテーブルにカザフスタン人の人が席に着いた。
で,出てきた料理を「これは自分の国の伝統料理だ。名前をピラフという」と説明してくれるが,ピラフは日本でもポピュラーですよ。
それから,午後の講演に出たが,コーヒーブレイクの時,ちょうど雨がやんでいるではないか!
今日はちょっと早退して買い物することにする。
抜け出る時にちょうど昼の時に一緒だったカザフスタン人と会ってしまったので,ショッピングできるところを聞くと,いつも通っている道の"Mockba"という妖しい建物がスーパーマーケットだと教えてくれた。
気になっていたこの店に入ってみると,スーパーというより小さいデパートだ。
1階が化粧品で,2階が婦人服,3階が紳士服と子供だ。
服は普通だし数万ルーブルもするので,買う気がしない。
子供の玩具売り場を回って,訳のわからないものばかり700ルーブルくらい買った。
時間がかかった割りに大した買い物ができていない。
あれがデパートなら…と意識して歩いてみると酒屋とか服屋とかいろんな店があるが,土産物屋らしきものはない。まぁ観光地ではないからな。
ホテルに戻ったら日本時間の夜中で,ちょうどいつものように芳徳とskypeで話した。
こんなに離れていてもリアルタイムでTV電話できるのだから時代は進んだものだ。
まだ19時くらいなので,せっかく雨の降っていないチャンスだからと散歩に出た。
雀が丘を目指したが,少し暗くなりかけたときに山中へ入るのは怖いので,あきらめて戻って駅のほうへ歩いてみた。
すると,大きなスーパーマーケットを発見!
大きすぎて何を買ったらいいかわからない。
ここは,輸入食料品を扱っている店のようで,日本の品もいくつもあったし,そもそもロシアのものではないものの方が多いくらいだ
ロシアに来てイタリアの品を買うのもどうなのって思ったから,事務室用にチョコレートくらいしか買えなかった。
ようやく部屋に戻ってきて,明日の講演の練習を始めたら,これが驚くほどできていない。
真っ青になって今やっているところ。
2013.09.18
朝早くから起きて,講演の練習。
なんとか30分で話せる見込みができて,一安心。
朝食をしっかり食べて,研究所へ。
今日の4番目の講演なので,落ち着かない。
さぁ,いよいよ講演。
開始早々,Acccardiから質問が!
こちらも薄々気にしていたことだったので答えられなくて,すると,他の人たちも口を出してきて,かなり時間を無駄にしてしまった。
これで口を出しやすくなったのか,他の人も口を挟んでくる。
自分の話すペースとしては練習通りで,残り15分はあるだろうと思って,座長に問うと,「残り5分」という返事。
質問で紛糾していた時間をカウントされているのだ。
慌てて説明を飛ばすとさすがに質問は出なくなったが,結局最後のシートが話せなかった。
そして,その後の質問でVolovichが,これまた全然話を理解していない質問をするので,もうがっかりだった。
俺が悪いのか彼が悪いのかはともかく,最後のシートを話すかどうかどころの状況じゃなかったよ。
もうショックでショックで,しかし落ち込んでいる暇はない。
午後からは,遠足だ。
朝は雨模様だったが,すっかり晴れて,モスクワに来て初めての青空だ。
どこに行くかも聞かされていないし,14時出発と言っておいて14時半に出発したりと,ぐだぐだぶりは相変わらずだが,バスの行き先は赤の広場だった。
この旅の目的にしていたワシリー寺院がいきなり見られた。
参加者の一人が解説してくれるが,それがまた長くて,そりゃすごいことだけど,ちょっと退屈した。
土産の露店がたくさん出ているが,値札が見当たらない。
さては交渉で値段が決まるのか。これはきつい。
結局,何も買うことはなく,赤の広場周辺を回ったら,夕食は食事しながらのモスクワ川クルーズだ。
席は狭いが,食べきれないほどの料理と,見所が来るたびに甲板に出て撮影タイム,と
なかなか充実した遠足だった。
で,ホテルに帰ってきたのは22時。
明後日は帰るだけだから,土産が買えるのは明日だけだ。どうしよう。
2013.09.19
朝起きたら,なんと雨!
昨日はあんなにいい天気だったのに,もう観光には行けないのね…。
しかし,いつもの時間にホテルを出たら,もう雨は止んでいる。
これは天の恵みと思って,一昨日あきらめた雀が丘に急遽行くことにした。
一昨日歩いたところより少し先まで行くと,いかにもという感じの遊歩道があるので,
そこから山中に入る。
いったん道路に出てしまったが,雀が丘の標識があるから駐車場なのだろう。
しかし,そこからが長かった。
もういっそ引き返そうかと思うくらい歩いて,ようやく,展望台に着いた。
雨が上がったばかりで曇っているし霧も出ていて,まったく見晴らしは良くない。
観光バスが止まっていて観光客がたくさんいたが,可哀そうに。
露店が出ていて,マトリョーシカを売っていたので,買った。
昨日は『交渉』を覚悟していたのに,つい言い値で買ってしまったことを激しく悔やんだが仕方がない。
モスクワ大学側から研究所に向かう途中に,ちょうどいいくらいに小さいスーパーマーケットを見かけたが,急いで研究所に向かって,無事コーヒーブレイクの時間に着いた。
午前のセッションが終わって,Accardiに昨日の件について話す。
相変わらず自分の思いつきばかり言う人だが,最後に僕のアイデアを面白いと(勝手に彼のいいように解釈してたような気もするが)大変喜んでくれたのは気分がよかった。
午後に,月曜のリベンジでまた日本人グループは買い物に出るらしいので,
昼食の時間に遅れてしまったが,急いで食べた。
同じテーブルの外人が「You're a fast eater!」と驚いていた。
みんなは,"Mockba"へ行くつもりらしい。
ここはダメなことを知っているのだが,ひょっとして地下階とか思いがけない発見があるかもと思って一緒に行ったが,やはり,みんな,ここは違うと判断したようですぐ出た。
そして,僕のホテルのほうへ向かって探そうとするが,この道は毎日通っているけど,何もないのだよ。
結局彼らもあきらめて逆向きに歩きだす。
そんなに歩くんだったら,朝見つけたスーパーまで行けちゃうよ,てゆうか,行ってしまった。
外から見た通り,地元の普段使いのスーパーで,どれも普通のロシア人の生活を感じさせるものだ。
"Mockba"の高級品揃いより,こういうものの方がお土産らしいと思うのは僕だけではなかったようだ。
みんな思い思いに買い物を済ませ,荷物を抱えて,会場に戻ってきた。
Accardiの講演はともかく,その後,Belavkinの追悼講演があって,それが終わっても解散の雰囲気にならないので,どうしたのかと思ったら,「学会運営が苦しいので会費を払ってください」というなんとも辛気臭い相談で,こんなのに付き合うくらいなら,もう一回買い物に行けばよかった。
とにかく,これで帰りが遅くなって,まぁ今日は夕食は抜くつもりだったからいいけど,店が閉まってしまってもう買い物はできない。
部屋に戻って,すべての荷物をスーツケースに詰めると,それなりに一杯になった。
これでモスクワの最後の夜だ。
2013.09.20-21
ホテルの人に聞くと,
空港には3時間前に着かなければならなくて,
タクシーで2時間かかるというから,17時45分の便に乗るには,昼食も無理そうだ。
やはり,行きと同じエアロエクスプレスを利用することにする。
今日も相変わらずの雨模様の曇りなので,観光する気分ではない。
朝食後にホテル前のスタンドで土産に調味料を買っただけで,結局,いつもの時間に研究所へ向かった。
そして,コーヒーブレイクの時間に会費を払った。
浅井君は「こんなの払う人いませんよ」て言うけど,昨日の侘しい話を聞いていたら払わざるを得ないでしょ。
午前の最後の講演の前に昼食に行く。
今日は初めてピラフではなかった。
一人でさっさと食べて,ホテルに戻ると,13時ちょっと前だ。
雨が小降りだからタクシーを利用するべきか迷ったが,行きと同じ方が安心なので,地下鉄まで歩くことにした。
確かに一度歩いた道なのだが,スーツケースがまっすぐ転がってくれないので,疲れた。
地下鉄の駅周辺には店がたくさんあることにいまさら気がついた。
まぁスタンドばかりなので,土産を買うには向かないが。
地下鉄の乗り換えも行きと同じなので,迷うこともなかったが,人が多くて,荷物が重くて,大変だった。
エアロエクスプレスの乗り換えもこっちだったなと勘で移動して,でも,チケットを自動販売機では買えないので,わざわざ窓口に並んだら,「左」と言われ,左の窓口に行くと,「左・下」と言われる。
案内板を注意してみたら,エアロエクスプレスの乗り場は左の階段を下りたところだった。
たった今この階段を上ってきたような気もするがよくわからない。
とにかく,これで14時発のエアロエクスプレスに乗った。
到着は14時45分だから,まさにフライトの3時間前。
電車利用にしても全然短縮になってなかった。
空港の搭乗手続きに時間がかかって15時半。
前の日記を見ると,この段階で空港をうろうろしていたようだが,今は出国手続きが混むのが心配なので,すぐに2階に行った。
ここを通ったのが16時15分だったから,普通に2時間前に来てたら,もうギリギリだ。
今は,1時間残っているので,duty free shopを見て回る。
ブランド物や輸入物の高級品ばかりで,これをここで買う人がいるのかな。
エアロエクスプレスの駅までタクシーで行くことも考えて700ルーブルも残したので,悩んだ末に15ドルのウォッカを買って,500ルーブル札を出したら12ルーブルになった。
まだ少し時間があるので,歩いていたら,別の店で同じウォッカが8ユーロで売っていてショック。
うろうろしていると悲しくなりそうだったので,搭乗口まで行ったら,ちょうど乗り込むところだった。
乗務員の人も「ありがとうございます」って日本語で挨拶しているし,ここを通過したら,もう日本にきたようなものだ。
飛行機の中でも,ずっと映画を見ていたし,たまたま隣がいなくて,広々していた。(3席使って横になって寝た)
成田でも,税関で申請書を書いてなくって注意されたが,そういうのも日本語だから困らない。
長距離移動のときに気を遣わなくていいという意味では,海外旅行の際日本の航空会社を使うのは,ストレスを減らす効果はあるかも。
(*1)1ルーブルは約3.5円。
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