授業中にも言いましたが,回転体の体積は数IIIレベルですから, \( \displaystyle\pi\int_1^{\sqrt3}\frac{dx}{1+x^2} \) まではみんな出来ていました。
さて,ここからの計算ですが, \( \dfrac{1}{2x}\log(1+x^2) \)などは『NG解答』です。 合成関数の微分「微分して,中身の微分を掛ける」 の逆だと思って,「積分して,中身の微分で割る」 としてしまうのは,一発レッドカードにも相当する誤解答です。 (逆に微分して元に戻らないことを確認してください。) そんな人が5人もいましたので, まずは積分の基本から復習が必要です。
しかし,上の解答のように\( \arctan \)を使えたのは16人だけで, \( x=\tan t \)と置換した人が11人もいました。 この人たちは高校ではよく勉強したのだろうに, 大学では勉強してないようです。 確かにこの問題では定積分なのでこれで解けますが, 不定積分\( \displaystyle\int\frac{dx}{1+x^2} \)では \( x=\tan t \)と置換しても, \( \displaystyle\int \dfrac{1}{1+\tan^2t}\dfrac{dt}{\cos^2t}=\int dt=t \) となるだけですから,数IIIでは\( \dfrac{1}{1+x^2} \)は, 『定積分できるが不定積分できない』 という中途半端な扱いです。 実際は\( x=\tan t \)から\( t=\arctan x \)で,結局\( \arctan \)に戻ります。
だから最初から,解答のように\( \arctan \)の公式を使って解けばいいのですが, \( \arctan\sqrt3 \)が\( \pi/3 \)になることがわからなかったら画竜点睛を欠きます。 でも,置換積分の解法で解いて\( \tan t=\sqrt3 \)から\( t=\pi/3 \)が分からない人は 一人もいませんでした。同じことなのに。
逆三角関数は大学で初めて登場したものなので, そこが難しく感じるかもしれませんが, これはただ新しい関数を定義しただけですから, 関する公式 \[ (\arctan x)'=\frac{1}{x^2+1} \] \[ (\arcsin x)'=\frac{1}{\sqrt{1-x^2}} \] と\( \arctan\sqrt3=\pi/3 \)などの数値計算さえできれば とりあえず大丈夫です。
区分求積法がよく分かりません。
公式を暗記して適用しようとしても難しいです。 意味を理解して,短冊の横幅と和の数を数えて考えるようにしましょう。
微分方程式でますか? 逆関数の微分は出ますか?
これは講義の試験の話だと思いますが, 微分方程式は出ません。 逆関数の微分は出ます。 ついでに言うと,今日やった広義積分も出ます。
BACK戻る

ホーム日比野のホームページへ ポスト 日比野雄嗣 hibinoy@cc.saga-u.ac.jp